歯や口腔は、摂食、咀嚼、嚥下や発音、表情づくりなど、人が生きていく上で大きな役割を果たしている器官であり、口腔の健康は全身の健康にも影響を及ぼすと言われています。
インプラント治療とは、歯が抜けたところの顎の骨に人工の歯の根を埋め込み、その上に人工の歯を作るものです。長期間の機能と審美性の回復が図れることで、自身の生活の質(QOL:Quality of life)の向上が期待される治療法で、ブリッジや入れ歯のように残っている歯に負担をかけずにしっかりと人工の歯を固定できることが特徴です。
平成29年(2017年)医療施設調査によると、2017年9月の1カ月間で全国の歯科診療所68,609施設のうち35%(24,014施設・手術件数27,383件) でインプラント治療が行われています。
一方、全国消費生活情報ネットワーク・システムには、歯科インプラント治療により被害を受けたという相談が増加傾向にあります。相談内容の多くが、治療上生じた問題によって日常生活にまで影響が及んでいるという相談が目立っています。長きに渡ってインプラント治療に携わってきた者として、大変心苦しい状態になっております。
今あるインプラント治療に関わる問題を知っていただき、正しい歯科医院でインプラント治療を受けていただきたいと切に願います。
そして一人でもこういったトラブルを回避、再発防止、修復できるように今後も誠実に歯科業界、インプラント治療と携わっていきたいと思います。
2013年度以降の約5年間に409件(2018年12月31日迄の登録分)寄せられており、毎年 60~80 件程度寄せられています。
年代をみると、50歳代(88件21.5%)と60歳代(127件31.1%)を合わせると相談の5割を超えていました。
全体の傾向については 2011 年の公表時と比べて大きな変化はありませんでした。
部位のほとんどは「口・口腔・歯」であり、その内容を分析したところ、痛み、インプラントのぐらつき・脱落・要撤去といった内容が多くみられました。
相談409件の申し出内容から、身体症状が継続した期間を集計しました。
身体症状が継続した期間について記載があった相談211件のうち、身体症状が1年以上継続したという相談は48.3%(102 件)で、さらに20.9%(44 件)は3年を超えて身体症状が継続したという相談でした。91.9%(194 件)は、相談受付時に痛み等の身体症状若しくは身体症状に対する治療が継続しているというものでした。
なお、身体症状が生じたときに当該歯科医療機関と異なる医療機関を受診したという旨の相談174件(42.5%)と、当該歯科医療機関と異なる医療機関の受診を希望するという旨の相談15件(3.7%)を合わせると、全体の半数近い189件(46.2%)を占めていました。
公益社団法人日本歯科医師会の中に設置された学術研究組織である日本歯科医学会に承認された学会のうち、歯科インプラントの専門医制度を有する学会が二つしかありません。
公益社団法人日本口腔インプラント学会と公益社団法人日本顎顔面インプラント学会のみとなります。
スキル・知識が不十分な歯科医師によるインプラント治療による問題も多く指摘されています。
日本歯科医師会に承認された学会での専門医を取得している歯科医院で治療を受けることをお勧めします。
日本歯科医師会に承認されていない外国のインプラント学会で取得した認定医は、日本の専門医の取得基準と大きく異なります。
もちろん日本の認定医を取得していなくとも十分なスキル・知識を有する歯科医師もいらっしゃいます。
インプラント治療を受ける場合は情報を収集し、治療前には歯科医師に口腔内および全身の状況、治療方法や費用、リスク等に関する説明を求めましょう。
また、インプラント治療で不具合が生じた場合は、他の医療機関への相談も検討しましょう。
手術前にCT検査を受けたのは314人(62.8%)、今まで罹患した疾病について訊かれたのは229人(45.8%)、服薬について訊かれたのは127人(25.4%)でした。
また、特に検査や資料提出や質問がなかったと回答した人は94名(18.8%)でした。
メインテナンスを受けていない人と回答した人は183人(36.6%)でした。その理由には、異常や違和感が無いが63人(34.4%)、歯科医師から指示が無かったからが50人(27.3%)と多くみられました。
とても悲しいことですが、上記内容が現在のインプラントの実態です。
上記内容は2019年3月に国民生活センターから発表されたものです。
ですが、ほとんどの事例が発症することはまれであると考えます。
歯科医師の技術・知識、そして倫理観が正しければ解決するものばかリだからです。
術前・術後の注意点の説明やヒヤリング、十分な審査・診断・説明、治療技術、術中術後のトラブルへの対応知識と技術、これらがあれば何も問題ありません。
インプラント治療をこれから受ける、もしくはすでに治療を受けている場合、その歯科医療機関が適切な設備を有しているか、豊富な経験を有しているかを見極めてください。
治療を受けるかどうかや歯科医療機関及び歯科医師の選択に際しては、設備、体制、知識、技術、経験で差が出てくるので十分に理解し納得のいく施設を選ぶことにより、リスクを軽減することができます。
1人でも多くのインプラントでお困りの方を救いたいと思います。
誰しも、口腔内で長期的に安定したインプラントを望んでいるが、適切なインプラント治療がなされなければ、悲惨な結果を招きかねません。このようなインプラント周囲炎に不幸にも罹患した場合、そのインプラントが重症化し、最終的に「撤去」しなければならない状態になる前に、我々は様々な対応をとらなければなりません。
当然ながら、適切な治療計画を立案して様々なリスク因子を排除し、適切なインプラント治療を行うことによるインプラント周囲炎の可能性の排除は当然ですが、埋入後にインプラント周囲炎に罹患した場合はできるだけ早期にその事実を発見し、原因を除去、処置することが重要です。
インプラントの周囲組織は天然歯のそれとは異なり、その防御機構は弱く、炎症が波及すると容易に深部に波及する可能性が高く、いかに早く発見出来るかは重要な要素の一つです。
歯科医師 博士(歯学)
東京歯科大学非常勤講師
日本口腔インプラント学会 専門医
日本口腔検査学会 認定医
歯科医師臨床研修指導歯科医
高度な技術と最新の機器を取りそろえ、徹底した衛生管理のもと、インプラント治療を長年経験してきた歯科医師としての役割を担う歯科治療を提供します。