歯科治療の見える化
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2003年のある日、はじめて臨床見学を申し込んだ先の院長先生から言われた言葉

『これからの歯科は見える化が大事だよ。』

当時、卒後間もない私は技術を磨くことだけしか考えておらず,何のことかさっぱりわからずに、某自動車メーカーの生産ラインの見直しに使われていた標語を思い浮かべていました。治療の手順を説明することも、患者さんに治療を見せて理解してもらうことも大事であることはわざわざ言わなくても大学で教えられてきたし...と、まとまらないまま話を聞いていると1台のパソコンを見せられました。

その意味はパソコン画面上に映し出されたCT写真をみた瞬間に理解しました.CTとは3次元のレントゲン写真で、コンピュータ上で見たい方向の断面図をを作り観察する機械です。

 

当時、日本国内ではじめて作られた歯科用CTが作る画像は、フィルムに焼き付けた医科用CTとは比べ物にならない解像度があり、解剖の実習でみた骨の断面と同じ構造がはっきりと、さらには歯の根の中までくっきりみえたのです。

それまで2次元の写真にある情報から推測して、いかに効率的で確実な根の治療が出来るかトレーニングしていたものが、その日のうちに確実な根の中の形を把握してしまい,

それまで2次元の写真にある情報から推測して、いかに効率的で確実な根の周りの歯石を取る治療が出来るかトレーニングしていたものが、その日のうちに確実な根の表面の形を把握してしまい,

それまで2次元の写真にある情報から推測して、いかに安全なインプラント治療できるか、さらに大きな傷を開いて慎重に手術していたものが、その日のうちに傷を開かなくとも確実なあごの形を把握してしまうのです。

そして単純に見えるようになったということではなく,治療の効果を確実に評価できるようになりました.

今,自分の臨床にCTは欠かせない存在となりましたが,こうした技術革新は後進の先生方の治療の上達を早め,ひいては歯科医療全体の確実性を高めることに繋がります.こうした思いから当院ではなるべく多くの新しい技術、良い材料を取り入れて治療に臨みます。